プロジェクター選びにおいて非常に重要なポイントの一つが「明るさ」です。
「ルーメン」とは明るさを示す単位のこと。しかし「ルーメン」「ANSIルーメン」と「ISOルーメン」などさまざまな表記があり、どのくらいのものを選べばよいのか分かりづらい……という方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、ANSIルーメンとISOルーメンの違いや、それぞれを採用しているメーカーの傾向について、実際の比較画像を交えてわかりやすく解説します。
正確なルーメン値を見極めることで、購入後の「思ってたのと違う…」を防げます。後悔しないプロジェクター選びの参考に、ぜひ最後までご覧ください。
ルーメンとは?

ルーメン(lm)は、光源が放射する光の量を表しており「明るさの単位」として照明などの明るさを示す際にも使われています。
プロジェクターにおいては、プロジェクターの光が出る部分(光源)の明るさ(光束)を示し、数値が大きいほど明るく表示されます。
ルーメンの数値が高ければ、日中の明るい部屋でも映像がくっきり見えたり、大画面にしてもはっきり見えやすいということです。
しかし実はルーメンの値は、メーカーなどによってそれぞれ異なる方法で測定されたものが製品のスペックとして示されていることがあります。その場合、より圧倒的に大きな値になっていることがありますので、注意が必要です(例えば、格安プロジェクターが数万ルーメンとして販売されていることも)。
その問題を解決するためにできたのが「ANSIルーメン」や「ISOルーメン」といった国際規格なのです。
ANSIルーメンとISOルーメンの違い
| 種類 | 規格団体 | 測定基準 | 傾向 |
| ANSIルーメン | 米国国家規格協会のANSI規格(ANSI IT7.228) | 規定の手順に沿って9分割された画面の平均輝度を測定し、面積と掛け算して算出 | 比較的明るく出る傾向 |
| ISOルーメン | 国際標準化機構・国際電気標準会議のISO/IEC規格(ISO/IEC 21118) | ANSIと同様の方法だが、より厳格な条件で測定 | ANSIより数値が低く出やすい |
ANSIルーメンとは?
ANSIルーメンは、米国国家規格協会(ANSI:American National Standards Institute)が定めた規格で、プロジェクターの明るさを客観的に評価するための基準です。
具体的には、投影画面を縦3×横3=合計9分割して、それぞれの部分の平均照度(ルクス(lx))を測定。それに投影面の面積(平方メートル(㎡))をかけて光束を求めます。lx=lm/㎡なので、ルクス(lx)に平方メートル(㎡)をかけてルーメン(lm)値を算出するのです。

この計測方法で求められた光束のルーメン値を、ANSIルーメンと言います。
ルーメンは光源の明るさを表すのに対して、ANSIルーメンは投影された「映像の照度」を表しています。メーカーが違っても、同じ基準で明るさを測定できるため、ルーメンでは比較できなかった明るさを比較できるようになります。
注意してほしいのは、「ルーメン」は「ANSIルーメン」に換算できないこと。算出された基準値が異なるため、比較したい場合はANSIルーメン同士で比較をするようにしましょう。
基本的にANSIルーメンのほうがルーメンより小さい値が算出されることが多いです。800ANSIルーメンでも1000ルーメンよりも明るく見える場合があるため、スペック表記には注意が必要。
目安として800 ANSIルーメンでは、昼間の明るい部屋で見るのは難しいですが、カーテンを閉めて暗くすれば、映像を見ることが出来ます。
ISOルーメンとは?
ISOルーメンは、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)と国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)が共同で定めた、プロジェクターの明るさに関する国際規格です。正式には「ISO/IEC 21118」という技術文書に基づいて測定されます。
測定方法は、基本的にANSIルーメンと同様に画面を9分割し、各エリアの明るさ(照度)を測定して平均を算出するものですが、ISOではそれに加えて、より厳密で統一された測定条件が定められています。
ANSIルーメンも一定の測定基準に則っているため、メーカー間の差異が出にくいとされていますが、実際には製品をより明るく見せるために、設定や条件を調整して測定しているケースも少なくありません。
そうした“演出”を抑え、より信頼性の高い数値を提示するために設計されたのが、ISOルーメンの測定基準です。
ANSIルーメンより低く出やすい
同じプロジェクターでもISO基準で測定すると、ANSIルーメンよりも値が低くなる傾向があります。
たとえば、ANSIで800ルーメンだった製品が、ISOでは600ルーメンと表記されることもあるため「ISO表記だから数値が低い=暗い」というわけではありません。
ISOルーメンは、より現実的な使用環境に即していて、明るさを過大に表現しない仕様です。このため、ISOルーメン表記のプロジェクターは“スペック通りに映る”可能性が高いといえます。実際の使用環境に近い条件で評価されるため、「買ってからガッカリ」ということが起きにくいでしょう。
ANSIとISO、それぞれを採用しているメーカーは?
メーカーによって採用しているルーメンの規格が異なります。
ANSIルーメン採用メーカー(米国規格)
- ANKER
- Aladdin
- BenQ
- HP など
これらのメーカーは、ANSIの明るさ基準を採用し、グローバル市場でも通用する比較的「見た目の数値が高め」のルーメン表記をしています。
ISOルーメン採用メーカー(国際規格)
- XGIMI
- Dangbei
- JMGO など
ISOルーメンはより厳しい条件での測定のため、数値上は控えめに見える場合がありますが、より現実的な視聴環境に近い明るさ基準と言えます。
また、グローバル市場での公平な比較基準を目指しているため、信頼性や一貫性を重視するメーカーが積極的に採用している傾向。
特に、業務用や教育機関向けなど、「表示スペック=実性能」であることが求められる用途で広く使われています。
どちらのルーメンを参考にすべき?
結論としては、ルーメンの数値そのものよりも「どの基準で測定されているか」を理解することが大切です。
- 数値だけで比較せず、ルーメンか・ANSIルーメンか・ISOルーメンかを必ずチェック
- ISOルーメンは数値が低めに出るが、厳格な測定法
- ANSIルーメンは広く使われるが、製品によって差が出やすい
また、実際の視聴環境(部屋の明るさ・画面サイズ・用途)に応じて、体験レビューや店舗での視聴なども参考にするのがおすすめです。
ルーメン規格の異なるプロジェクターを比較・検討するためには
もし欲しいプロジェクターを比較したときに、それぞれの規格が異なる場合、スクリーン投影による画面の明るさや鮮やかさの違いがどれぐらいなのかを見て判断した方が良いです。
自分が使用する目的や使う環境を考え、実際にプロジェクターに映った明るさを口コミやレビューを見ることが大事。
暗い部屋で見る場合や、映すためのスクリーンは小さいもので十分といった場合はルーメン値が小さくて済みます。一方で、明るい部屋で見たい、大画面でも鮮やかに映ってほしいといった場合は、必要なルーメン値は大きくなるでしょう。
一般的に、画面の明るさに比例してプロジェクターの価格は高くなる傾向にあります。
【実写比較】同じルーメン規格でも「見やすさ」は異なる
実は同じルーメン規格であっても、見え方は異なることがあります。

ルーメン値だけを見ると、左の機種(1500 ISOルーメン)の方が大きいのですが、実際の映像を比べると印象は異なりますよね。
左の機種は全体的にやや黄みがかって見えたり、黒が浮きやすく、暗部のディテールが潰れて見える印象。
一方で、右のN1S 4K(1100 ISOルーメン)は白や青がより自然でくっきりして見えます。黒色も締まり、暗部のディテールが鮮明に再現されています。
この違いは単なるルーメン値だけではなく「光源技術・解像度・コントラスト比・色再現性・映像チューニング精度」などといった要素によるもの。
このように、ルーメン値だけが映像の良さを決めるわけではありません。だからこそ、スペックをトータルでチェックすることが大切。
数値上の明るさが高くても、実際の映像では色味やコントラストのバランスが異なることもあります。最終的には、実際に投影された映像を見て、自分の目で確かめるのが一番確実。数字だけでは伝わらない“見え方の違い”を体感することで、本当に満足できる1台を選ぶことができるでしょう。
【使用シーン別】ANSIルーメン・ISOルーメンの目安と選び方
「自分に必要な明るさがどれくらいかわからない…」
そんな方のために、ルーメン値ごとの投影イメージと使用シーンをまとめました。
ぜひプロジェクター選びの参考にしてください!
~300 ANSIルーメン・〜200 ISOルーメン
使用シーン例:
- 夜の寝室で間接照明のみ
- 天井投影やリラックス空間用
- モバイルプロジェクターで映画1人鑑賞など
【こんな人におすすめ】
真っ暗な部屋でしか使わない人/寝る前に天井に投影して映画を観たい
600 ANSIルーメン・400〜500 ISOルーメン
使用シーン例:
- 遮光カーテンを閉めたリビング
- 家族で映画鑑賞・YouTube視聴など
【こんな人におすすめ】
日常的に使いたいが、しっかり部屋は暗くできる人
1000 ANSIルーメン・800 ISOルーメン
使用シーン例:
- 日中でもカーテンを閉じれば使える
- パーティーや友人との鑑賞会など
【こんな人におすすめ】
日中には拘らないが、できるだけ大画面で高画質を楽しみたい人
1500 ANSIルーメン以上・1200 ISO ルーメン以上
使用シーン例:
- カーテンを閉めきれない明るめの部屋
- ビジネス用途(プレゼン)や教育現場など
【こんな人におすすめ】
明るい部屋でもしっかり見たい/パブリックな用途
まとめ
プロジェクター選びでは「ルーメン数=明るさ」の目安になりますが、ANSIルーメンとISOルーメンでは測定基準が異なるため、単純な数値比較は危険です。特にISOルーメンはより厳密な条件で測定されており、数値が低くても「暗い」わけではありません。
また、ルーメン以外のスペック実際の使用シーン(昼間・夜間・照明の有無)によって、適切な明るさは大きく変わります。本記事で紹介した比較画像やシーン別のおすすめルーメン数を参考に、あなたにとって最適なモデルをぜひ見つけていただけたらと思います。
JMGOのプロジェクターは、ISOルーメン表記を採用し、厳密な測定に基づいたリアルな明るさを提供しています。高性能な光学技術により、くっきり鮮やかな映像体験が可能です。
明るさ・スペックで選ぶなら、ぜひラインナップをチェックしてみてください!
あなたの暮らしにぴったりの1台が、きっと見つかります。